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本 「猫」 と 「累犯障害者」


ずっと以前から一度ご紹介したいと思っていた本2冊。

一冊は去年からダラダラ読んでは止め、また一寸づつ読んでいた

「猫」 中公文庫 

帯には「半世紀をへて甦る、猫に魅せられた作家たちの珠玉の随筆集」とあり、リンク先のamazonのサイトで作品の一部が読めます。

ダラダラ半年以上かな?かけて読んでいたので、前半はもう忘れちゃってますが、
印象としては戦前・戦後直ぐの猫の飼い方が判って面白いです。
多分お若い方には虐待!と思われる部分もあるかもしれませんが、私が子供の頃まではこの本に載ってる情況とそう変りはありませんでした。
でも当然ですが、猫に関した随筆を残している有名作家の方々なので、それなりに猫を愛していたのは確かです。
戦時中に猫を連れて疎開してたりね。

他にも猫に関してのアンソロジーを読んだ事ありますけど、この「猫」の方が面白かったかな。
柳田國男の戦前の作品の中に、猫の島として有名な田代島の名前がでてきたり、以外な発見もあります。
田代島は昨年の震災で大きな被害を受けましたけど、ドイツから獣医さんがボランティアに来たり、
江川 紹子さんや他の有名人も訪ねたりで話題になり、猫も復興に役立っている様です。




そして、こちらは数年前に読んで、初めて知った事が多くとても感銘を受けた本です。

「累犯障害者」 新潮文庫


帯には「殺人、売春、放火、監禁、偽装結婚・・・。 彼らはなぜ、罪を重ねなければならなかったのか。 障害者の犯罪をめぐる社会の闇に迫る」とあります。

筆者は元衆議院議員で秘書給与流用で実刑判決を受けて服役し、その服役中の経験から獄中の犯罪者の実に1/4が何らかの障害者である事を知り、その後の追跡調査から実態と救済を訴えた物です。

実際収監されていた犯罪者の中には、自分の名前さえ書けないもの、裁判で罪を犯したか問われてもその意味すら理解できない者もいるそうです。
勿論、罪は許されるべきではないかもしれませんが、自分が何の罪を犯したのかそれさえ理解できずに、出所後の支援が無いばかりに、何度も同じ事を繰り返し刑務所とシャバの往復を繰り返す犯罪者が多い。
また刑務所がその様な軽度の社会的障害者の受け皿になってしまっている現状が紹介されています。

レッサーパンダ事件が冒頭に紹介されています。
レッサーバンダ帽という目立った服装をした犯人が、一面識も無い女性を刺し殺した事件です。
殺害されたのはまだ19歳の女性でした。 そして犯人はレッサーパンダ帽子という異様な姿だったために、大騒ぎになった事を覚えています。
でも私はこの犯人が知的障害者である事をしりませんでした。 日々次々と起こる事件に犯人が捕まった事しか知りませんでした。
全く何の落ち度も何の関係も無い女性の命を奪った事は決して許される事ではありませんし、
犯人は知的障害と言っても十分に責任能力があると、裁判で無期懲役が確定しています。
犯人は中程度の知的障害で一人で生活も出来るとみなされて、何らの社会保障・支援を受けていませんでした。
でも実は殆ど社会には適応できず放浪生活を繰り返す中で、軽犯罪で服役もしています。
出所では父親が身元引き受け人になったのですが、この父親自体も後に知的障害者である事が判明しています。
この犯人の場合は障害があり且つ親族に支援制度を理解し、申請できる者がいなかったために、
障害者支援を何ら受ける事なく犯罪(自転車泥棒、食い逃げで数年服役しています)を繰り返し、
最期には殺人事件まで起こしてしまったのです。

事件の異様さで犯人が捕まるまで大騒ぎしたマスコミも、犯人が捕まり知的障害者であると判った後は、
裁判のニュース以外に詳細の報道は無かったそうです。

文庫本の後書きに拠ると、現在では国も犯罪を犯した障害者の社会復帰支援を始めたらしいです。
また最近では厚生省文書偽造事件で冤罪を着せられた村木さんが、賠償金を障害者団体に寄付し、
犯罪を犯した障害者の支援に使われるとニュースになりました。
また知的障害者の容疑者の取調べには、福祉関係者の立会いを認める例こ出てきたそうです。
http://mainichi.jp/select/today/archive/news/2012/02/07/20120207k0000m040103000c.html

日本は今どんどん重罰主義に傾いています。
それに関しては色々な意見があるとは思います。
ただ残念ながらどんなに罪を重くしても、犯罪は減らないのです。
また今の刑務所は老人と障害者の割合たとても高く、社会で支援を得られない弱者の受け入れ場になっている面があります。
もう3年前の本ではありますが、もし少しでも犯罪者といわれる人々の実態に興味があれば、
お勧めの本です。




と、最近猫度が薄い「猫との日々」でありました。





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コメント

[title]:

moguさん、

ペットの飼い方はずいぶん変りましたからね。
うちには20~30年前位の猫の飼い方の本がありますが、それには猫は風呂に入れる必要はないとあります。
また猫は犬の様に一度に餌を食べる事は無いともあったと思います。
「猫」はもっと昔のエッセイなので猫の飼い方の違いも面白いけど、moguさんの書かれている様に猫への愛情は変らないと思います。

障害者の犯罪に触れるのはタブーという感じがマスコミにはあるのかもしれません。
私もこの本を読むまで、刑務所に収監されている犯罪者にそんなに何らかの障害がある人がいるとは知りませんでした。
知的障害者だけでなく、聴覚障害者で適切な手話通訳がいなくて(手話は1種類では無いらしい)、自分の主張を裁判で述べられなかったりもあるとの事です。
また累犯を防ぐには、出所後のケアーが大事なんですよね。
例えば働きたくても犯罪者が雇用される機会は非常に少ないでしょう。
出所直後の犯罪ってけっこう多いですよね。
でもね、年間3万人もじ さ つ するこの国では、そこまで行政も市民も余裕が無いのでしょうか。
アメリカはどうなっているのでしょうかねえ。
  1. 2012/02/27(月) 19:23:48
  2. URL
  3. REI #Q0/G/4Qc
  4. [ 編集 ]

[title]:

anemoneさん、

えー、わざわざ送って頂かなくて、簡単に買えますから。
もしそちらの海外シンジケートで他にご興味のある方があれば、廻して頂ければと思います。

発達障害と言えるかどうかわかりませんが、弁護団の主張にあった様に思います。
また今回の最高裁の判決の付属?意見の中に、18歳としては幼い思考?という一人の判事が述べています。
犯罪者の成長過程に問題がある場合は多いですが、当然同じ様な環境でも殆どの人は殺人までは犯さない。
そこをどう判断するかですね。
大体、責任論でも、もともと殺人等の重大な犯罪を犯す人は、それだけで正常では無いという事でもあるし。
いつも思うのだけれど、私自身だって犯罪者に絶対ならない自信は無いけど、やっぱりその一線を踏み越えるのは別な気もするんですよ。
まあ、感情論と法の運用はある程度別の物で、そこを一緒にすると橋下さんと同じになっちゃうかな。

光市の事件は、恐らく私が被害者に全面的に共感していない事が、anemoneさんや他の方々にもご理解は頂けないと思います。
元ご主人(既に再婚されてますので、元にしておきます)の苦しみには、もっと沿うべきだとは理屈では判っているのですが、やはり死刑はさ つ じ んであり、私怨を晴らすのが刑罰の目的なのかが判らないのです。
かと言って、無期でいつか普通の社会に戻ってしまう事が適切な処置とも思えないし。

詳細は確かにしりませんが、以前に何かで読んで記憶があります。
ご主人が発見した時に、ご遺体にかなりの冒涜の跡があったとか・・・。
いずれにせよ、anemoneさんのお勧めの本、探してみます。 (昨日は時間切れでした)

それにしても、fc2の「適切で無い単語」ってどうにかならないのかなあ。
まともに社会問題のコメントが書けない。


  1. 2012/02/27(月) 19:01:05
  2. URL
  3. REI #-
  4. [ 編集 ]

[title]:追記

うーん、私の記憶では光市の犯人に発達障害はないと思います。
家庭がややこしかったのは事実。
でもさ、そんなん、うちの家もかなり妙でしたから(笑
そして、世間で普通に知られているよりも光市の事件はおぞましいものでした。
読み返して発達障害の確認をする勇気がわかないほど…
ひどいものです。
狂気という隣人と、なぜ君は…をいっしょに送りますね(^ ^)

  1. 2012/02/27(月) 13:24:46
  2. URL
  3. anemone #0XD2YVB.
  4. [ 編集 ]

[title]:No Subject

今は獣医さんが当たり前、食事とか飼い方が全然違うけど、今も昔も
猫を愛しく思う気持ちは変わらない。
その思いを知るのは面白いですね~
犯罪や法律に関しての本はちゃんと読んだ事がないかも。
何となく知ってる様で、全然知らないんですよね。
障害者の方々に関しては触れてはいけない様な部分もあって、こうして
知る機会が多くないからかしら。
罪を犯したから罰を受ける、それだけで終わっていいのか。
考えだすと、すごく難しい問題だわ.........
  1. 2012/02/26(日) 21:32:54
  2. URL
  3. mogu07 #dsgD8nx.
  4. [ 編集 ]

[title]:

anemoneさん、

えーと、その本、私は読んでません。 お客様が持ってきて下さった中から、anemoneさんがご興味がありそうなのを送ったのですが、面白く読んで頂けたなら嬉しいです。 って、私も読んどけば良かった・・。
帰りに探してみようっと。

本来日本の刑法で有罪になるには、「構成要件に該当し、違法で有責な行為」として認められる必要があるのです。
(むかーし、数年法律勉強したけど、刑法で覚えてるのはこれだけなのよねえ)
精神障害者や知的障害者は、この有責かどうかが問題になるはずです。
なんか最近の判例では殆ど責任能力があるとされますね。 数名の専門家に鑑定を依頼しても、殆ど有責論が採用されてる気がします。
被害者の立場に立てば、責任能力がなければひとごろししても良いのか、何故そんな人物が社会で生活しているのか、という気持ちも判らないではありませんが・・・。
光市の事件も犯人の育ち・家庭環境に問題があった様です。 発達障害があったとか。
それが酌量の余地とされるか。 認められずに死刑が確定しましたね。

私も死刑には反対です。 
理由は、日本の刑事制度では、冤罪が起こり易いこと。 現実にここ数年、逆転で有罪が覆される事が多いです。
死刑が執行された後で、有罪の根拠が曖昧だった事が判った事件もあるそうです。
これはアメリカではもっと多いらしいですが。
でも何より私に理解できないのは、
死刑も さつじんである事です。 個人のさつじんは罰せられます。 
でも戦争は国家によるさつじんなのにさつじん罪には問われないのと同様に、死刑執行は人をころす事なのに正当な行為とされる事が、どうしても理解出来ません。
正義のさつじんなら許されるの? 普通は計画的さつじんは発作的さつじんより罪が重くなるのに、死刑って計画的さつじんではないの?
という単純な疑問です。 きっと死刑制度を認める人には、余りに馬鹿な疑問なんだと思います。
犯した罪はそれに対応する罰が当たり前という事なのでしょう。
しかし、私にはそれでも人が人をころす事のどこに違いがあるのか判りません。

実は私は光市事件の被害者の方(ご主人)にずっと違和感がありました。
それは上の理由からです。 
でも最高裁で死刑が確定した時のご主人の会見で、この方が長く苦しまれて来た事が良く判りました。
被害者の権利が守られていない事への苦しみではなく、何が正義なのかをずっと考えてこられたという事です。
またご自分に落ち度があった訳では無いのに、ずっと家族を守れなかった事で自分を責め続けてこられた事。
死刑を望みながらも、死刑で無くなった家族が戻ってくる訳では無い事の空しさ。
死刑が確定していずれ執行されても、本村さんはずっと苦しまれるのかもしれません。
だからこそさつじんは許されるべきではないのかもしれないけれど・・・。

でも私は大声で死刑反対を述べる事が出来ません。
それは、光市の事件ではなくて、市川であった家族4人をさつがい事件です。
これは本当に酷い事件で、この犯罪に対して死刑以外のどんな方法があるのか、死刑反対論者の私にも判らないからです。
それ以後、池田小学校や秋葉原の事件など、死刑以外の刑罰があり得ない犯罪もありますし・・。

それでも、死刑は国家によるさつじんと何が違うのかと、結局堂々巡りなんです。
(これって、以前も書いたかも)
  1. 2012/02/26(日) 17:37:35
  2. URL
  3. REI #-
  4. [ 編集 ]

[title]:

kotoraさん、

大分以前に猫の本の事をコメントに書いて、やっと約束を果せた感じです。(苦笑)
この文庫、表紙の黒猫さんが可愛いです。
ドイツも猫ブームですか? 猫のクリスマス? 絵本だったら私でも読めるかも。

「累犯障害者」は本当にお勧めです。 犯罪の一面を教えてくれます。
色々な理由で有罪になった政治家の殆どは、禊が終わったといって政治家に戻るから(勿論、投票する選挙民がいる訳ですが)、この人は珍しいかもしれませんね。
特に秘書給与流用は半ば当たり前の事として行われてた事みたいだからね。

福祉は金がかかるし、今の日本は益々弱者切捨ての社会なんですよねえ。
毎日毎日、人身事故で電車が止まる社会ってオカシイですよ。 でも電車の利用者は慣れてしまって、そこで人の命が失われた事より、電車が止まった迷惑しか思いつかない。
公務員は減らせというのに、福祉担当者は何をやってると攻め立てる。
行政や対応も問題だけど、世論を誘導してるマスコミも、思いやりを失ってる国民にも問題あると思うんですよねえ・・・。

アメリカだと民間のボランティア活動とか一般化していそうですが、日本ではそういう意味の民度がまだ低くて、社会性が未成熟だと思います。
ドイツはどうなんでしょうね。




  1. 2012/02/26(日) 16:21:53
  2. URL
  3. REI #-
  4. [ 編集 ]

[title]:No Subject

前にREIさんが送ってくれた本の中に精神科の先生が書いた「狂気という隣人」って本、面白かったよ。
精神疾患や知的障害のある人の犯罪ってすごく多いのね。
日本はそこらへんはメチャクチャだものね。
私は死刑反対派なんだけど、光市の事件で「君はなぜ絶望と闘えたのか」を読んで、ちょっと考え込んじゃった。
死刑です。って言われて、執行までの時間が、ああいう犯罪者にやっと人間らしい反省を促すのだとしたら、やっぱり死刑はいるのかな、と。
で、執行します。
執行しました。…でもこっそりホントは「ドッキリでしたー」みたいなのがいいかも…とか(´・_・`)
  1. 2012/02/26(日) 08:54:41
  2. URL
  3. anemone #0XD2YVB.
  4. [ 編集 ]

[title]:No Subject

本の紹介ありがとうございます。
猫の本はドイツにもこうやって猫に関係する文学作品を集めた文集が最近良く出てます。クリスマス前なんかは猫のクリスマスという本などがありました。これはチェック。
累犯の本、司法制度・裁判・犯罪に関する本、実はなぜかいろいろうちにあるんでまたいずれ。(法律関係の人からもらった…
しかし興味深いですね。こうやって書いてもらわなかったら全く知られざる世界でしたよね。
この元衆議院議員の人、全然覚えてませんが、ちゃんと社会とのかかわりを断たないでいたところがえらいですね。
やっぱりちゃんと社会的にケアされなければならないところですよね。福祉関係、ぼちぼちと広まってきたとはいえ…まだまだ穴がたくさんあるのでしょうね…。
  1. 2012/02/26(日) 00:19:59
  2. URL
  3. Kotora #-
  4. [ 編集 ]

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